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さびと防錆(表面処理の基本)

2021.04.12

表面処理の基本 (さびと防錆)

表面処理とは、めっきや塗装など、材料表面の性質を高めるために材料の表面に行われる処理の一つです。

以下のような性能改善を図ることが期待できます。

(1)耐摩耗性(2)強度(3)耐食性(4)耐熱性(5)潤滑性(6)密着性 等。

特に、ねじ締結体(ボルト、ナット)は鉄鋼材料をベースとしていますので、これまでに公開している「金属の損傷 腐食シリーズ」で述べてきたものの中から、本編では鉄に対して使用されることが多い錆(さび)と防錆(ぼうせい)について着目した内容としました。

 

◇用語の定義 JIS Z 0103 では下記のように定義されています。

・腐食 金属がそれをとり囲む環境物質によって、化学的又は電気化学的に侵食されるか若しくは材質的に劣化する現象。

・さび 普通には、鉄表面に生成する水酸化物又は酸化物を主体とする化合物。広義には、金属表面にできる腐食生成物をいう。

・防食 金属が腐食するのを防止すること。

・防錆 金属にさびが発生するのを防止すること

・耐食性 金属が腐食に耐える性質。

 

◇錆(さび) なぜ鉄は錆びるのでしょうか?

下の図1.は、金属結合状態の鉄原子(Fe)が錆(さび)を発生する起因となる金属原子のイオン化を表しています。

図1.金属原子(鉄原子のイオン化で欠損)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図1.金属原子(鉄原子のイオン化で欠損)

 

鉄の酸化に係る反応式

 

◇鉄の腐食(さび)が発生する条件

(1)還元反応が起こる条件が揃う。(大気中または水中などでは水と酸素が存在する)

(2)液体の水が存在する。(鉄と接触している水の中では、イオンの移動が起こる)

→ 不純物(汚れ)が存在すると(2)を促進させる。(鉄と不純物の間に水分が生まれてイオンの移動が起こる)

* 金属の腐食(鉄さび)には、水と酸素が存在する環境が必要となります。

 

◆防錆(ぼうせい)どのようにして錆(さび)の発生を抑えるのでしょう?

では、金属に錆(さび)が発生することを防止するための方法は何があるのでしょうか?

* 錆(さび)を防止するためには、金属(鉄)と水や酸素を直接触れさせない環境にすることが重要です。

(1)金属自体の表面に何らかの被膜形成処理をして保護する。(めっき、化成処理、塗装等)

(2)金属自体の表面には直接何らかの処理をしないで酸素や水から保護する。(防錆油、防錆包装等)

次回以降に(1)についてご説明致します。今回は、(2)について簡単に述べます。

 

①防錆油

防錆油の働きは、液体の水が金属表面にたまることがないように金属と油の接着剤の役割をします。これは腐食抑制剤(インヒビター)が防錆油には含まれており、金属との間に隙間が生じないようになり化学的に結合できるためです。

しかし、切削加工する際に使用する加工油には防錆効果はありません。腐食抑制剤がないので化学的に結合できないので金属との間に隙間が生まれます。従って、水分が金属表面に接触することになり、腐食を抑制できません。(*加工油の中には腐食抑制剤が含まれているものもあります。従って、加工油に鉄製品を浸漬して保管しても全くさび抑制効果がないわけではありません。)

 

図2.加工油(切削油)のイメージ図  図3.防錆油のイメージ図

②防錆包装

酸素や水を遮断するために鉄製品を包装することで外部から遮断する方法があります。

JIS Z 0303「さび止め包装方法通則」にて詳しく記されておりますのでご確認下さい。

防錆包装をしているにもかかわらず錆(さび)が発生するというトラブルはあります。

切削加工した製品に対して、何らかの表面処理を行う前や生地製品を防錆包装する前に重要なことは金属表面の清浄度が良い(洗浄をしっかりと実施する)状態で包装することです。また、乾燥剤を入れて包装しているので水分が発生しない(さびが出ない)と思っていても乾燥剤の使用量も適切に設定しないとさびが発生します。

防錆包装一つを取っても奥が深いです。

 

鉄鋼製品の錆びにお困りの方は下記もご参考に!

▶ 腐食に強く強度も高いねじ締結材料は?

 

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