ねじ材料の機械的性質

2020.10.20

機械的性質とは

機械的性質とは金属材料が有する力学的な特性の総称ですが、引張強さ、伸び、絞り、硬さ、衝撃値が代表的であります。

引張試験と応力―ひずみ線図

引張強さと伸びは引張試験によって測定されます。引張試験は引張試験機を用いて先ず荷重―伸び線図を実測し、その後応力―ひずみ線図を算出します。引張強さは最大荷重を試験片の原断面積で割った値です。ひずみは試験片の伸び長さを元の長さで割った値です。機械的性質でいう伸びは破断伸び(破断ひずみ)のことで、破断後の永久伸びを原標点距離に対して百分率%で表示したものです。破断後の永久伸びは破断面を突き合わせて評点間の長さを測定し、原標点距離を差し引いて求められます。

 

引張試験によって弾性率、上降伏点、下降伏点、引張強さ、破断伸びなどの特性が求められます。降伏は材料のへたりを意味する言葉ですが、弾性から塑性に変化する領域で現れる現象のことであります。応力―ひずみ線図において弾性限界を超えて応力が一旦下がる最大の点(上降伏点)、あるいは曲線が折れ曲がる点を指して降伏点と呼びます。軟鋼のような合金成分を含まない低中炭素鋼では上降伏点と下降伏点が明瞭に出現しますが、合金鋼などでは不明瞭になります。

 

 

絞り、硬さ、衝撃値

その他の機械的性質として、絞り、硬さ、衝撃値があります。絞りは引張試験によって求められます。硬さ試験としてはビッカース硬さ試験、ブリネル硬さ試験、ロックウェル硬さ試験が代表的です。ビッカース硬さ試験は一種類ですが、ブリネル硬さ試験は圧子として鋼球を用いるHBSと超硬合金球を用いるHBWがあります。一方、ロックウェル硬さ試験には圧子の種類とか試験力の大きさによって多くの種類があります。衝撃試験では試験片を用いたものとしてはシャルピー衝撃試験とかアイゾット衝撃試験が有名です。

 

 

引張強さと硬さの関係

鉄鋼材料では引張強さとビッカース硬さがおよそ比例することが知られています。引張強さをσB(MPa)とするとσB=3.2HVの関係があります。例えば実機の部品において引張強さが知りたい場合、引張試験片を切り出すのは困難な場合が多いものですが、硬さ試験は小試験片で可能でありますから、硬さ試験による硬さからこの関係式を使って引張強さを推定したりすることができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

代表的な機械的性質

鉄鋼材料

主要な普通鋼であるSS材(一般構造用圧延鋼材)にはJISにおいてSS330~SS540が規定されています。SSに続く数値は引張強さの最低値を表しています。例えばSS400はボルト・ナット材としても使われますが、引張強さは400MPa以上保証されています。

 

主要な特殊鋼(合金鋼)である機械構造用合金鋼にはJISにおいてマンガン鋼からアルミニウムクロムモリブデン鋼までの7分類の鋼種が規定されています。この中でクロムモリブデン鋼であるSCM材のSCM435は高強度のボルト・ナット材として広く使われています。SCM435の一般的な機械的性質としては引張強さ930MPa以上、降伏応力785MPa以上、伸び15%以上の特性を有しています。

 

非鉄金属

アルミニウム材料は鋳造材と展伸材に分けられます。展伸材は地金を溶解鋳造後、圧延とか鍛造工程を経て板・管・線材などの形状に製造されたものです。アルミニウム・アルミニウム合金展伸材はJISではA1000番台からA8000番台まで規定されており、A1000番台は純金属、A2000番台以降は合金になります。質別記号はO:焼なまししたもの、H:加工硬化したもの、T:熱処理によって安定な質別にしたものになります。製品形状記号はP:板とか条、FD:鍛造品であります。質別記号と製品形状記号はその他にも多くの種類が規定されています。ボルト・ナット材にはA5000番台とA7000番台が使われます。

 

銅材料は鋳造品と伸銅品に分けられます。伸銅品は銅地金原料を溶解鋳造後、圧延・押出、引抜きなどの加工を行って板・管・線などの形状に加工されたものです。伸銅品としてJISでは、C1000系からC7000系まで規定されています。JIS記号では材料形状記号と質別記号が付加されます。ボルト・ナット用として銅材料は機械的強度に劣るため構造材用途には向きません。電気伝導に優れるとか耐食性が良好とか非磁性とかいった性質を持ち合わせた特殊用途に向きます。

 

 

チタン材料にも鋳造材と展伸材があります。チタン・チタン合金はJISでは1種から80種が規定されています。機械的性質としては引張強さが純チタンで270~750MPa、合金チタンで60種が895MPa以上、80種が640~900MPaなどとなっています。JIS規格以外では近年、1200MPaクラスの引張強さを有したチタン合金が開発されています。

チタン材は比強度に優れ耐食性も良好ですが成形性が悪いため、一般用途向けのボルト・ナット材としては不向きです。コスト高になりますが特殊用途として使われています。

 

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