ねじのゆるみとは
ねじ締結体(ボルト、ナット)は、ねじの締付けによってボルト軸部に発生した引張力(ボルト軸力または軸力といいます)と被締結部材に発生した圧縮力(締付力といいます)とにより一体化されています。このねじ締結体に外力が作用していないときは、ボルト軸力と締付力とは互いにつり合っており、この状態における両者を総称して「予張力」といいます。
締付け直後に発生した予張力は、何らかの原因で低下することがあります。このような予張力(軸力及び締付力)の低下を「ねじのゆるみ」といいます。
ねじのゆるみの種類
「ねじのゆるみ」は、以下のように大別できます。
◇ナットが回転しないで生じるゆるみ(非回転ゆるみ)
(1) 初期ゆるみ(締付け後の塑性変形)
(2) 陥没ゆるみ(締付け後の塑性変形 クリープ変形)
(3) 微動摩耗によるゆるみ(摩耗)
(4) 密封材の永久変形(締付け後の塑性変形 クリープ変形)
(5) 塗装材の破損によるゆるみ(締付け後の塑性変形)
(6) 過大外力によるゆるみ(締付け後の塑性変形)
(7) 熱的原因によるゆるみ(温度変化/可逆変化)
◇ナットが回転して生じるゆるみ(回転ゆるみ)
(1) 軸回り方向繰返し外力によるゆるみ
(2) 軸方向繰返し外力によるゆるみ
(3) 軸直角方向繰返し外力によるゆるみ
ナットが回転しないで生じるゆるみについては、経時変化によるものが多く、事前に対策を立てればある程度防止することが可能となります。
ナットが回転して生じるゆるみは、通常「ねじがゆるむ」と言われるもので、その中でも特に、軸に対して直角な方向(軸直角方向、あるいはトランスバース方向)の繰返し外力によるゆるみについては、いまだ有効な対策を立てることが難しく、設計技術者にとっては非常に頭の痛いところです。
これらのゆるみに関しては下記の別コンテンツをご参照下さい。
非回転ゆるみはこちら ▶「非回転ゆるみ(ねじのゆるみ)」
回転ゆるみはこちら ▶ 「回転ゆるみ(ねじのゆるみ)」