ねじのゆるみはどうやって把握する?(軸方向繰返し荷重試験)

2021.11.19

ねじ締結体(ボルト・ナット)の回転ゆるみを把握する方法としては、NAS試験やユンカー試験というボルト軸に対して軸直角方向に外力(負荷荷重)を与えるものと、今回説明するボルト軸と同じ軸方向に外力(負荷荷重)を与えることで軸力の低下が起こり回転ゆるみを把握する方法があります。

 

軸方向繰返し荷重によるゆるみ試験

ねじ締結体のゆるみの原因は、ボルト軸直角方向に加わる外力負荷以外に軸方向の繰返し荷重もあります。軸方向繰返し荷重を与えた場合、繰返し荷重が以下の条件で回転ゆるみが発生することが知られています。

W / F0 = C とおくと、C ≧ 2  が回転ゆるみが発生する最低条件であると言われています。         ( W:負荷荷重 F0:初期軸力)   ➡  初期軸力の2倍以上の外力が加わるとゆるみが生じる。

 

これを確認するために以下の検証試験を実施しました。

 

軸方向繰返し荷重試験の試験方法と試験例

図1は、万能試験機を使用してボルトとナットに軸方向の上下繰返し荷重を作用させたものです。ねじ締結体に繰返し荷重を与えて、軸力測定により回転ゆるみが発生するかどうかの把握を行いました。

 

図1.軸方向繰返し荷重試験図

 

最初に、試験条件を示します。

◇ 試験条件(M12、並目ピッチ1.75mm、強度区分4.8の場合)

      (1)初期軸力 F0

ボルト降伏軸力Fyの20%、70%の2組を求める。
Fy= 340 N/mm2 × 84.3 mm2 = 28662 N
① Fy の 20% = 28662 N  × 0.2 = 5732 N
② Fy の 70% = 28662 N × 0.7 = 20063 N

      (2)繰返し荷重 W

ボルト降伏軸力Fyの50%、80%の2組を求める。
③ Fy の 50% = 28662 N  × 0.5 =14331 N
④ Fy の 80% = 28662 N  × 0.8 = 22930 N

      (3)引張荷重・初期軸力組合せ(表1)

 

次に、試験対象品を示します。

◇ 試験品(ナット)

HLN   : ハードロックナット スタンダードリム

WN      : ダブルナット 六角ナット(1種)+六角低ナット(3種)

SN+SW  :   シングルナット 六角ナット(1種)+ばね座金

SN            : シングルナット 六角ナット(1種)

 

最後に、試験結果を示します。

◇ 試験結果(表2)

 

◇ まとめ

表2より、ボルト軸方向に繰返し荷重が負荷された場合では、ボルトとナットを十分な初期軸力(ボルト降伏軸力Fyの70%)で締結している場合には、ボルト降伏軸力Fyの80%という大きな繰返し荷重がかかっている場合であっても、一般の六角ナットでさえ回転ゆるみを起こしにくいことが理解できます。
一方、なんらかの要因で初期軸力が大きく低下した場合(ボルト降伏軸力Fyの20%)では、負荷荷重がボルト降伏軸力Fyの50%(C=2.5)により六角ナットや六角ナット+ばね座金は完全に回転ゆるみを起こして残留軸力はゼロになります。また、ダブルナットでも残留軸力が半分程度に低下します。さらに、負荷荷重がボルト降伏軸力の80%(C=4)の場合では、ハードロックナット以外は残留軸力がゼロとなり、完全に回転ゆるみを起こしていることが分かります。
今回の検証ではハードロックナットは、初期軸力が低い場合やなんらかの外力(負荷荷重)の要因で軸力が低下した場合であっても回転ゆるみを生じにくいことが分かりました。

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