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ねじの締付け工具

2020.09.25

ねじを締付ける、あるいはゆるませる道具として多種多様な道具が存在します。

一般には下のような締付け工具を用います。

 

ここでは少し特別な締付け工具を一部紹介します。

 

名称 主な特徴
トルクレンチ トルク測定や設定トルクによる締付けで使われる。

トルク仕様範囲に応じて複数準備する必要がある。

インパクトレンチ 手軽に高い締付けトルクが得られる。

締付け精度が保証されない。

パワーレンチ 強力なトルクが得られる。

反力を受ける方法が必要。

ひっかけスパナ 丸ナットの溝にひっかけて回す工具。

締付け/緩ませを行う際、ひっかけレンチが斜めになり丸ナットの溝の破壊につながる可能性あり。

 

トルクレンチ

ねじを締結するレンチ状の部分を有する工具です。所定のトルクでねじを締結するための作業工具と、ねじ締結の際の締付けトルクを測定する測定器具の両方ともトルクレンチと呼ばれています。また各種サイズに対応するため、ねじを締結する部分にソケットを接続できる形状の工具も使われています。

トルクレンチは直読式とシグナル式に分類されます。直読式は作用しているトルクの値を直接表示する方式で、トルクを梁のたわみに変換するもの、トルクをバネの変位に変換するものなど多数の方式があります。表示もアナログ/デジタルがあり、最近では無線で測定データを発信できるものも上市されています。一方シグナル式は値を読み取るのではなく、あるトルクになったら音やクリック感などのシグナルを発するものです。シグナル式では事前にシグナルを発するトルクを設定する必要がありますが、現場作業など規定値での締付けを連続で行う等の箇所では重宝されています。最近ではシグナル機能を有する直読式も上市されています。

なお、電動や空気圧等による「ナットの自動締結装置」をナットランナーと呼び、締付けトルクの設定を行える工具もあります。

 

インパクトレンチ

インパクトレンチはボルトやナットを締付ける工具として人力による締付けよりも簡単に大きなトルクを発生することができる事で知られています。ほとんどのインパクトレンチの先端部分はソケットを接続できるような構造になっています。同じ原理でドライバ―タイプもあり、インパクトドライバーと呼ばれています。

ねじ締結の荒っぽい方法として(正しくはないのですが)レンチの端をハンマーでたたくことで締付ける(あるいは緩ませる)場合があります。これは衝撃力により大きなトルクが発生するためです。一般に発生する力は衝撃体の力積(運動量の時間変化)によって変化し、衝突等の急激な変化では強力な力が発生します。

 

インパクトレンチでは電気や圧縮空気を動力源に内蔵した衝撃体(ハンマー)を回転させ、ある程度の速度で回転させた衝撃体をソケットが接続された軸の被衝撃体に衝突させ、その時に生じるトルクでソケットを回転させます。

 

インパクトレンチは比較的簡単に高いトルクが得られ、短時間での締付けが可能なため広く用いられています。しかし、常に衝撃力が加わるため以下の問題点に注意する必要があります。

  • 締付けトルク管理が困難

衝突により発生するトルクは不安定なため、ねじの許容最大トルクを超えない様に注意する必要があります。

  • 衝撃によるソケットやボルト/ナットへのダメージ

ソケットの材質やめっきによってはインパクトレンチの衝撃トルクに耐えられず、めっきはがれやソケットの破損の可能性があります。またねじ締結体にも同様の衝撃が加わるため、ボルト・ナットや被締結体へダメージが生じる可能性もあります。

  • 強い締付けトルクに対する反動

インパクトレンチに締付けトルクと同じ反力が発生するため、反動に対する対応が必要です。

  • 衝撃振動が発生する

インパクトレンチはその構造上繰返し衝撃反動が発生します。インパクトレンチを手にもってねじ締結を行う場合、手には繰返し衝撃反動が伝わるために長時間使用すると振動障害が発生する場合があります。

 

パワーレンチ

大径のボルトやナットの締込み、及びゆるめ作業に用いる工具の一種で、倍力機構により小さなトルクを倍力して高いトルクを発生させます。

構造的には減速機の一種であり例えば倍力機構によるロスがない場合、減速比が10:1であれば発生トルクは10倍になります。倍力機構(減速機構)には種々ありますが、多くは歯車を使用しており歯車の伝達ロスがトルク倍増のロスになります。

パワーレンチは小さなトルクで大きなトルクを発生できますが、高トルク側反力は発生しますから反力を受ける機構を必要とします。

 

 

ひっかけスパナ

丸ナットに形成されている溝に先端の爪をひっかけて回す工具で、丸ナットの直径に応じて選択して使用します。丸ナットに形成されている溝の数は4本、8本等がありますが、工具は同一です。ねじを締付ける際に発生する応力は丸ナットの溝底部に集中するため、過度な締付けトルクによってはナットが割れる可能性があります。丸ナットを締付ける、若しくはゆるめる際にひっかけスパナの端を叩き衝撃加重で回そうとすることがよくありますが、ひっかけ溝部が変形したり、最悪の結果として丸ナットが割れる可能性があります。

 

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