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トルク・軸力管理とは?(ゆるみの把握の基礎知識)

2020.09.17

軸力とは?トルクとは?

 

被締結体を固定したい場合の締結用ねじの種類として、ボルトとナットがあります。

軸力とは、ボルトを締付けると、ボルト締付け部は軸方向に引っ張られ、非常にわずかですが伸びます。この際に元に戻ろうとする反発力が軸力です。軸力が発生することで被締結体が固定されます。この軸力によりねじは物体の締結を行うわけですが、この軸力を直接測定することは難しいため、日々の保全・点検活動においてはトルクレンチ等で締付けトルクを測定することで、軸力が十分かどうかを点検する方法が一般的です。

では、トルクとは? トルクとは、力学において、ある固定された回転軸を中心にはたらく、回転軸の周りの力のモーメントである。と説明されていますが、ねじ締結においては、被締結体の中を通した六角ボルトを固定する際に六角ナットを使用する場合を考えます。ボルトの中心を回転軸としてレンチで締付けますが、レンチをぐるぐる回すことになります。この回す際に発生する力のモーメントがトルクです。つまり、締付けトルクは、締付けにおいてナット又はボルト頭部に作用させるトルク(回転方向に回す力)のことです。

軸力が適正な範囲に無ければ、ゆるみの原因となったり、被締結部材の破壊を引き起こしてしまうため、日々の適切な締付けトルク・軸力管理が重要となります。

では、適切な軸力で管理するために必要な締付けトルクをどのようにして求めることになるかですが、以下の簡易計算式で求めることが可能です。

 

トルク・軸力/簡易計算式

トルク・軸力/簡易計算式

 

簡易計算式の算出

安全なねじ締結を行うには、十分な初期締付け力Ffが必要であり、その為には適切な締付けトルクTで締付けを行わないとなりません。その為には軸力Ffと締付けトルクTの関係と、その関係に影響を与える様々な要因を把握しておくことが重要となります。

そのことを踏まえた上で、締付けトルクTの原理の理解から始めます。トルクとは「ねじりモーメント」で回転軸を中心として働く回転軸まわりのモーメントであり、力と回転軸に中心までの距離を乗じたものがその量となるので、単位は、N・m,kgf・cm等になります。つまり、トルクレンチ等の締付け工具で締付け作業を行う場合に加える力と回転軸の中心までの距離を乗じたものが締付けトルクとなります。

水平に回転する力・トルクによってボルトは軸方向に引っ張られ、それによって軸力が発生します。図.1に示すように、締付け工具に加える力は、ナット座面における摩擦トルクTwとねじ部におけるTsとの和になります。以降、このねじ部に発生するトルクTs(ねじ部トルク)として、ナット座面における摩擦トルクTw(座面トルク)とします。

ボルト・ナットの締付け状態

図1.ボルト・ナットの締付け状態 とします。また、

式(1) 式(1)

となります。

まず、ねじ部トルクTsについて考えます。トルクは力のモーメントと述べましたが、ねじ部トルクTsにおいての力は「斜面の原理」で示されている斜面上の物体を水平に押す力Uであり、距離はボルトの有効径の半分、つまり、d2/2となります。

よって、

式(2)式(2)

となります。ここで、tanβ-tanρ'<<1であることから、摩擦係数μ=μsとすると、tanρ’≒1.15μsとなります。

よって、式(2)は、

式(3)式(3)

となります。

次に、ナット座面における摩擦トルクTwについて考えます。

式(1)を使って、次式が成立します。

式(4)式(4)

式(3)と式(4)を Tf=Ts+Twに代入すると、

式(5)式(5)

となります。ここで、平均的な値として、μs=μw=0.15、tanβ=0.044(β=2°30′)、d2=0.92d、dw=1.3dとおくと、式(5)は、

式(6)式(6)

となります。

一般的には、

式(7)式(7)

とおいており、この比例定数Kのことをトルク係数といいます。

三角ねじにおける斜面の原理(斜面における力の作用)

図.2 三角ねじにおける斜面の原理(斜面における力の作用)

 

参考資料はこちら

▶ 斜面の原理の解説(角ねじの場合)

▶ 斜面の原理の解説(ねじ締付けの基本)

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