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一般用メートルねじの公差(ねじの規格)

2022.11.15

公差と許容差

公差と似た言葉に、許容差というものがあります。

まず、基準寸法に対して許容できる最大値と最小値があり、それぞれを「最大許容寸法」「最小許容寸法」といいます。最大許容寸法と基準寸法の差を「上の寸法許容差」、最小許容寸法と基準値の差を「下の寸法許容差」といいます。

そして、最大許容寸法と最小許容寸法の差のことを「寸法公差」、いわゆる公差といいます。

図にすると図1の状態になります(両側公差の場合)。

 

図1 公差と許容差の関係

図1 公差と許容差の関係

 

 

 

公差方式の構成

公差グレード及び公差位置、並びに公差域のクラスの選択によって公差方式は構成されます。

公差グレードとは、公差の大きさを等級で表したもので、公差位置とは、基準寸法0と基礎となる寸法許容差の位置関係のことを言います。

 

1)公差グレード

公差グレードの数字が小さいほど公差の範囲も狭く、公差グレードの値が大きいほど公差の範囲は広くなっています。

 

表1 公差グレード

表1 公差グレード

 

表2 M10×1.5の有効径の公差(例)

表2 M10×1.5の有効径の公差(例)

 

 

2)公差位置

めねじの公差位置は、「G」と「H」があり、「G」は正の基礎となる寸法許容差を持ち、「H」は0の基礎となる寸法許容差を持ちます。

おねじの公差位置は「e」「f」「g」「h」があり、「e」「f」「g」は負の基礎となる寸法許容差を持ち、「h」は0の基礎となる寸法許容差を持ちます。

 

図2 めねじとおねじの公差位置

図2 めねじとおねじの公差位置

 

 

 

3)公差域クラス

ねじの公差域クラスは、公差グレードの後ろに公差位置をつけて表します。そして、はめあい区分とはめあい長さを考慮し選択します。

はめあい区分は、「精」「中」「粗」に分かれており、一般用としては「中」が適用されます。「精」ははめあいの変動量が小さいことを必要とする精密ねじなどの場合で適用され、「粗」は製造上ねじ加工が困難な場合などに適用されます。

はめあい長さの区分は、「S」「N」「L」に分かれており、実際のはめあい長さが分からない場合は区分「N」が推奨されております。

メートル並目ねじの六角ナット1種と3種は「N」に該当します(M14並目の六角ナット3種のみS)。

 

表3 はめあい区分

表3 はめあい区分

 

表4 はめあい長さの区分

表4 はめあい長さの区分

 

 

上記のはめあい区分より公差域クラスは表5、表6より選択します。

青文字の公差域クラスは普通のめねじまたはおねじ用に選択し、太文字の公差域クラスは第1選択であり、普通の文字の公差域クラスは第2選択になります。また括弧の公差域クラスは第3選択です。

 

表5 めねじの公差域クラス

表5 めねじの公差域クラス

 

表6 おねじの公差域クラス

表6 おねじの公差域クラス

 

 

許容限界寸法

一般メートルねじ(M5–M30)の許容限界寸法ではめ合い区分が中のもののめねじの方を表7に、おねじの方を表8に示します。電気めっきなどの被膜を施すねじの公差は、特に指定がなければ被膜を付ける前の部品に適用し、被膜を付けた後の実体ねじ山形状はどの箇所も公差位置の各最大実体寸法の境界を越えてはなりません。

 

表7 めねじの許容限界寸法(M5–M30)(クリックするとPDFが開きます)

表8 おねじの許容限界寸法(M5–M30)(クリックするとPDFが開きます)

 

 

ねじの規格に関連する以下の技術ナビコンテンツもご覧ください。

一般用メートルねじの基準山形と基準寸法(ねじの規格)

 

(引用・参考文献)
JIS規格はJIS検索より内容の閲覧が可能です。

日本産業規格 JIS B 0209-1:2001 「一般用メートルねじ-公差-第1部:原則及び基礎データ」

 

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