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鉄鋼材料の低温脆性について

2024.09.27

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bcc構造とfcc構造

鉄鋼材料の中には低温でもろくなってしまう(低温脆性を示す)ものがあります。低温脆性は金属の原子の並び方(結晶構造)には密接な関連があります。ここでは結晶構造について、体心立方格子(body-centered cubic: bcc)構造と面心立方格子(face-centered cubic: fcc)構造について触れます。両構造の模式図を図1に示します。bcc構造は立方体形の単位格子の各頂点と立方体の中心に原子が、fcc構造は立方体形の単位格子の各頂点および各面の中心に原子が位置する構造となっています。fcc構造を持つ単体金属は多いですが、鉄鋼材料の金属組織では、主にフェライト相がbcc構造、オーステナイト相がfcc構造を有します。

 

 

図1 体心立方格子と面心立方格子

図1 体心立方格子と面心立方格子

 

 

鉄鋼材料の低温脆性

bcc構造のフェライト相からなるフェライト鋼は低温域で低温脆性のために衝撃値などの機械的性質が大きく低下(靭性低下)してしまう問題があります。この低温脆性を抑制するにはNi添加が有効で、Ni添加は低温域での衝撃遷移温度を低下させる効果があり、低温域における耐衝撃特性を大きく改善して靭性を増加させます。通常3%以上のNiを含む高Niフェライト鋼が室温以下の低温用途に使用されており、特に9Ni鋼では耐衝撃特性が大きく改善されてLNG貯蔵用途に広く利用されています。一方、fcc構造のオーステナイト相から成るオーステナイト鋼は低温脆性が起こらず高い靭性を有するので、その代表鋼であるオーステナイト系ステンレス鋼が低温用鋼材として広く利用されています。オーステナイト系ステンレス鋼はさらに溶接性、加工性も良好で、優れた低温用材料といえます。高Ni鋼では3Ni~18Ni鋼、マルエージング鋼、また、オーステナイト系ステンレス鋼ではSUS304系、SUS316系などが使用されています。

 

 

低温脆性、低温疲労、その他疲労特性などにつきましては、以下のねじ締結技術ナビコンテンツをご覧ください。

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