ボルトを適切に締付けることは極めて重要です。締付け方法はいくつかありますが、この技術コンテンツでは、トルク勾配法について簡単に説明します。また、この方法に関する詳細についてはねじ締結技術ナビ技術寄稿でもまとめられておりますので、あわせてご覧ください。
トルク勾配法
トルク勾配法は、回転角に対するトルクの変化率(トルク勾配)を締付け指標として初期軸力を管理する方法です(図1)。軸力があるレベルを超えるとトルクとナット回転角の関係が線形から外れ、傾きが寝てきます。回転角に対するトルクの変化率が小さくなってくるポイントを締付けの指標としています(JIS B 1083では、トルク勾配が最大値のおよそ1/2から1/3になった時に締付けを完了させるとなっております)。トルク法に比べて得られる軸力の精度は高いですが、専用の締付け工具が必要となります。自動車のエンジンやシリンダヘッドのボルトなど、締付けの信頼性の高さが求められる場合に用いられています。
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参考文献
- 日本産業規格 JIS B 1083: 2008「ねじの締付け通則」(JIS規格はJIS検索より内容の閲覧が可能です)
- 福岡俊道:技術者のためのねじの力学―材料力学と数値解析で解き明かす―,コロナ社(2015),pp. 73-125