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プラスチック材料とは?(基本編)

2022.07.06

プラスチック材料とは?(基本編)

 これまでの本サイトでは、ねじ締結に関して金属材料を中心にして中でも鉄鋼材料に関して公開してきました。しかし、ねじに使用されている材料は非鉄金属(アルミニウムや銅などのベースメタル、チタンやニッケルなどのレアメタル)及びプラスチックもあります。そこで、今回はプラスチック材料に関してもイメージを掴んで頂きたいと思います。

 

<プラスチックとは?>

 皆様はプラスチックという言葉に対してどんなイメージを持たれているでしょうか?
昨今のプラスチックごみの海洋汚染問題などネガティブなイメージがあるかと思います。しかし、ねじ締結部品(ボルト、ナット等)にも利用されているプラスチック材料の良い点にも着目して頂ければと思います。

 プラスチック(plastic)の語源は、ギリシャ語の「plastikos(塑性の)」という言葉に由来しています。塑性とは「物体に力を加えると変形し、力を取り除いても元の形に戻らない性質」を言います。金属材料の公開コンテンツの中では、力を取り除いても元の形に戻らない変形状態である“塑性変形”という言葉でご存じかと思います。つまり、プラスチックとは「物体に力を加えると変形するような柔らかくした材料から塑性変形させることで作られたもの」とも言えます。また、金属材料と比べてプラスチックは、強度と耐熱性が低く、特に、屋外の環境下では太陽光の紫外線による変色やチョーキングおよび雨による加水分解といった耐久性の低下、特定の溶剤に弱いといった弱点があります。しかし、金属材料と比べて比重が鉄の約1/6と軽量であり、電気絶縁性や耐食性に優れており耐薬品性や成形も比較的に容易なため低コストで大量生産可能な利点があります。更には、透明性のある材料やフィラーと呼ばれる充填剤を付加することで着色したり、強度アップや導電性を持たせることも可能です。

 JIS K6900では、プラスチックは「必須の構成成分として高重合体を含みかつ完成製品への加工のある段階で流れによって形を与え得る材料」と定義されています。重合体はポリマー(高分子化合物)という表現もします。現在では石油系原料から作られた合成ポリマーのことをポリマーと呼ぶことが多いです。

 

<プラスチック材料の分類-1> 加熱および冷却における分類

(1)熱可塑性プラスチック
  熱可塑性ポリマーを主原料としており、加熱すると可塑性を示して賦形できて冷やすことで固化
  します。再加熱することで流動化するので再び成形可能でありリサイクル性が高い材料。

(2)熱硬化性プラスチック
  成形材料の状態では流動性を示していますが、加熱すると不可逆反応で硬化します。一旦硬化す
  るとこの状態から流動化しないので再び成形することはできません。

<プラスチック材料の分類-2> 熱可塑性プラスチックの分類

(1)汎用プラスチック
  プラスチックの中でも8割以上を占める一般的な材料で生活用品にも多く使用されています。
  耐熱温度が100℃程度ですが、価格的に安価であり加工性も良く、大量生産できることから
  我々の生活の中で身近に感じる材料です。
  5大汎用プラスチックとは?
   ・高密度ポリエチレン(HDPE)結晶性
   ・低密度ポリエチレン(LDPE)結晶性
   ・ポリプロピレン(PP)結晶性
   ・ポリスチレン(PS)非晶性
   ・ポリ塩化ビニル(PVC)非晶性
  但し、この分類以外にアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)非晶性
  を加えてポリエチレンを一つにまとめた括りもあるようです。

(2)汎用エンジニアリングプラスチック(汎用エンプラ)
  一般的に、耐熱温度が100℃以上で、50MPa以上の強度を示す材料です。
  5大エンジニアリングプラスチックとは?
   ・ポリフェニレンエーテル(PPE)非晶性
   ・ポリブチレンテレフタレート(PBT)結晶性
   ・ポリカーボネート(PC)非晶性
   ・ポリアミド(PA)結晶性
   ・ポリオキシメチレン(POM)結晶性

(3)スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)
  耐熱性・機械的強度が非常に高い高機能樹脂です。150℃以上の高温環境下でも長時間使用す
  ることができて、機械的強度も高く金属代替部品としての可能性があります。
  耐薬品性や難燃性も改善されていますが価格が非常に高いことが難点です。
   ・ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)結晶性
   ・ポリフェニレンスルフィド(PPS)結晶性
   ・ポリアミドイミド(PAI)非晶性       等々

<プラスチック材料の分類-3> 固化状態における分類

(1)結晶性プラスチック
  溶融した状態では非晶性プラスチックと同様に分子がランダムな配列になっているが、冷却して
  固化する過程において規則的な配列になって結晶相を形成して非晶相と混在している。
  結晶相の生成には冷却速度が関係しており、速いと結晶相の比率(結晶化度)が低下する。
  特徴は、結晶化度に左右されるが強度や弾性率は高いが衝撃強度は低い傾向にある。また、光の
  散乱が起こるため不透明であったり、成形収縮率が大きく設計時の考慮が必要であったりするが
  、一般的に耐薬品性は優れている。

(2)非晶性プラスチック
  冷却して固化した状態においてもランダムな分子配列になっている。そのため、光の散乱が起き
  にくい(屈折率が均一)ので透明に見えやすい。また、内部へ化学薬品などが入りやすいので、
  耐薬品性は良くない傾向にある。しかし、溶融状態から固化状態における過程の中では、体積の
  変動が少ないため成形収縮率は比較的小さい。

 

<ガラス転移点について>

 高分子材料(ポリマー)であるプラスチックには、ガラス転移点と呼ばれるガラス状態からゴム状
態に変化する温度があります。これはポリマーの熱的特性が急激に変化する温度を転移温度と言いま
すが、結晶融点や結晶化温度などの一つです。
 図1は模式的にプラスチックのガラス転移点と硬さの関係を示しました。
ガラス転移点は、非晶質状態にあるポリマー分子が相対的な位置は変化しないが分子主鎖が回転や振
動を始めるまたは停止する境界の温度です。プラスチックはこの温度を境にして機械的強度や弾性率
が変化します。分子鎖同士が弱い結合力で引き付け合っているガラス状態では流動性もなくなってい
るため、図1に示すようにガラス転移点以下では硬さ(強度)が高い状態にあります。一方、分子鎖
同士が流動性を持った状態がゴム状態になります。結晶性プラスチックではガラス転移点より高温側
には結晶温度と融点が存在しますが、非晶性プラスチックでは融点などの相変態温度はありません。
図1には代表的なプラスチックのガラス転移点を合わせて示しましたが、ガラス転移点の傾向として
は、汎用プラスチックでは低く、エンプラでは比較的高い傾向にあります。

 プラスチックについて強度的な面で考えますと、結晶性プラスチックは結晶部分が溶融し始めると
剛性は急激に低下し、非晶性プラスチックではガラス転移点が高ければ耐熱性も向上します。また、
エンプラに関しては、三菱ガス化学が開発されたレニー(RENY)というポリアミドMXD6を主
成分とするポリアミド樹脂系成形材料のグレードとしてガラス繊維を添加させて強度アップを図った
ものがあり、炭素繊維やその他の強化材を添加した複合樹脂材料なども開発されています。

図1.プラスチックのガラス転移点と硬さの関係

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<参考>

プラスチックの疲労については、下記技術コンテンツもご参考いただければと思います。

プラスチックおよびセラミックスの疲労

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