ボルトを適切に締付けることは極めて重要です。締付け方法はいくつかありますが、この技術コンテンツでは、熱膨張法について簡単に説明します。
熱膨張法
締結部に装着したボルトヒータ―を用いて中空ボルトを加熱し、軸方向に伸びを発生させます。その状態でナットを回転して着座させ、冷却させることにより、冷却時の収縮を利用してボルトを締付ける方法が熱膨張法です(図1)。締付け可能なボルトサイズに制限がなく、装置が安価で小型であるために狭い箇所での締付けが可能という長所があります。また、発電所の大型蒸気タービンの車室の締結には呼び径の大きなボルトが多数使用されていますが、このように多数のボルトを均一な軸力で締付ける必要がある場合、ボルト数に等しいボルトヒータ―を用いた熱膨張法が有効です。一方で、熱膨張法には、軸力とヒーターの加熱時間の関係を求めるのが困難で、締付けに時間を要するという欠点があります。
以下の技術資料もあわせてご覧ください。
- 弾性域締付けと塑性域締付け(ボルトの締付け方法)
- トルク法(ボルトの締付け方法)
- 回転角(度)法(ボルトの締付け方法)
- トルク勾配法(ボルトの締付け方法)
- 張力法(ボルトの締付け方法)
- 適切なねじの締付け(ゆるみの把握の基礎知識)
- トルク・軸力管理とは?(ゆるみの把握の基礎知識)
参考文献
- 福岡俊道:技術者のためのねじの力学―材料力学と数値解析で解き明かす―,コロナ社(2015),pp. 73-125