ボルトを適切に締付けることは極めて重要です。締付け方法はいくつかありますが、弾性域締付けと塑性域締付けの2種類に大別されます。この技術コンテンツでは、この2種類について簡単に説明します。
弾性域締付けと塑性域締付け
ボルトの締付け軸力と伸びの関係を図1に、JIS B 1083に定められている締付け方法についてのまとめを表1に示します。弾性域とは、軸力と伸びが比例関係にあり、力を取り除くとボルトの伸びも元に戻る領域のことで、この領域で締付けることを弾性域締付けといいます。一方で、弾性域を超えてボルトに軸力を与えると、ボルトは塑性変形を起こし、力を取り除いても伸びが元に戻らなくなります。この領域のことを塑性域と呼び、この領域で締付けを行うことを塑性域締付けといいます。弾性域締付けは、ボルト・ナットの再利用が可能という特徴がありますが、軸力のばらつきが大きくなります。一方で、塑性域締付けで使用したボルト・ナットは塑性変形しているので再利用できなくなりますが、弾性域締付けに比べて軸力のばらつきが少ないという利点があります。表1の最右列の締付け係数Q(参考値)は軸力の最大値を最小値で割った値で、数値が大きいほど軸力がばらつくことを意味します。トルク法と弾性域での回転角(度)法は塑性域での回転角(度)法やトルク勾配法に比べてばらつきやすくなっていることが分かります。
表1 JIS B 1083で定められている締付け方法のまとめ
以下の技術資料、コンテンツもあわせてご覧ください。
- トルク法(ボルトの締付け方法)
- 回転角(度)法(ボルトの締付け方法)
- トルク勾配法(ボルトの締付け方法)
- 適切なねじの締付け(ゆるみの把握の基礎知識)
- トルク・軸力管理とは?(ゆるみの把握の基礎知識)
参考文献
- 日本産業規格 JIS B 1083: 2008「ねじの締付け通則」(JIS規格はJIS検索より内容の閲覧が可能です)