これまでにねじ締結技術ナビにて公開したボルトの締付け方法に関する技術資料とコンテンツをこのページにまとめております。代表的な締付け方法については、以下に示したように、トルク法、回転角(度)法、トルク勾配法、張力法、熱膨張法が挙げられます(各方法の詳細についてはリンクをクリックしてご覧ください)。この中で、トルク法が最も使われている一般的な方法となり、他の手法はトルク法の「軸力のばらつき」という問題点は解消されているものの、用途がかなり特殊になります。
締付け方法
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適用例
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利点
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注意点
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トルク法
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最も一般的で広く普及
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・作業が簡便 ・工具が安価 ・人力で締付け可能 |
・締付け時に軸力がばらつく ・摩擦の影響が強い |
回転角(度)法
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舶用関連の重要部品の締付け(弾性域回転角法) 自動車産業などでの呼び径の小さな高強度ボルト(塑性域回転角法) |
・軸力のばらつきを抑えられる(塑性域回転角法)
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・締付け初期のスナッグポイントがばらつく ・ボルトナットが再使用できない(塑性域回転角法) |
トルク勾配法
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自動車のエンジンやシリンダヘッドのボルト
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・軸力の精度が高い
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・専用の締付け工具が必要 ・ボルトナットの再利用は検討が必要 |
張力法
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原子力関連機器、化学プラント及び大型内燃機関の重要部品
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・軸力の精度が高い ・摩擦の影響をほとんど受けない |
・締付け装置が高価 ・狭い間隔の場所に適用できない |
熱膨張法
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発電所の大型蒸気タービンの車室の締結
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・装置が安価で小型 ・多数のボルトを均一な軸力で締付けるのに向く |
・締付けに時間を要する
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その他のボルトの締付け方法に関する技術資料・コンテンツ
- 弾性域締付けと塑性域締付け(ボルトの締付け方法)
- 適切なねじの締付け(ゆるみの把握の基礎知識)
- トルク・軸力管理とは?(ゆるみの把握の基礎知識)
- ねじ締結の原理と締結信頼性の向上(その①:トルク法の力学)
- ねじ締結の原理と締結信頼性の向上(その ②:トルク法におけるねじ締付け特性値の測定と分析)
- ねじ締結の原理と締結信頼性の向上(その③:塑性域締結法および張力法について)
参考文献
- 日本産業規格 JIS B 1083: 2008「ねじの締付け通則」(JIS規格はJIS検索より内容の閲覧が可能です)
- 福岡俊道:技術者のためのねじの力学―材料力学と数値解析で解き明かす―,コロナ社(2015),pp. 73-125